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改革を成功に導くためのノウハウ(2)2006/06/26日常の意思決定において、十分な調査や分析をする時間はないことが大多数ではないでしょうか。また、問題発生時において、問題解決のスピードが求められ、真っ先に解決策の提示など決断や判断が求められることも多いでしょう。しかし、次の2つの点には、十分注意が必要です。 注意点@:問題の把握の深さによって、解決策が異なるということ 問題を表面的にしか捉えない場合、その解決策についても表面的な対処策にしかなりません。限られた情報・限られた時間の中で、いかに問題の本質を把握し、根本的な対処策を講じることができるかがポイントとなります。多くの問題は、あるひとつの問題点から出た問題(現象)であることが多いということです。問題に対しては、「なぜそうなったのか?(Why?)」で深堀りしていくことを習慣付けることが大切です。また、解決策で議論がまとまらない場合、議論をしている各々で問題の捉え方が異なっているケースがあります。その場合は、各々の問題について事実を一度並べて整理すると意見がまとまりやすくなります。 注意点A:問題の本質を見誤ることによって、問題解決できないばかりか悪循環に陥る ことがあること 問題の本質を把握せず、誤った施策などを講じることによって、状況がさらに悪くなることがあります。対処策を講じた後も、よく状況を把握し、施策の評価を行い、問題点の把握は正しかったのか常に検証することが大切です。 例えば、店舗の売上が低下しているため、商品値下げの販促チラシにて売上アップを図る場合、確かに売上は一時的に向上するかもしれませんが、同時に利益が向上しているか、また販促チラシの効果が持続的に発揮しているかを常に検証しなくてはなりません。店舗の商品に魅力がなくて客離れが発生し売上が低下している場合、販促を行うことによって店舗運営は問題の悪循環に陥る恐れがあります。 また、場合によっては、問題の本質を正確に把握し、対処策を講じなかったことで、企業が最悪の状況に追い込まれるケースもあります。 例えば、2000年の雪印乳業の食中毒事件のケース。食品における国の厳しい品質管理基準であるHACCP(危害分析重要管理点)認定の工場において、停電が発生した際に製造された脱脂粉乳に菌が繁殖し、それを加工乳や加工食品にそのまま使用したことによって1万人以上もの多数の被害者を出した事件があります。「食中毒」の一報から、患者が次第に増えるにつれても、製品品質における絶対的な自信から、対応は後手に回り、のちに雪印側の回答と第三者の事故調査結果との食い違い、工場のずさんな温度管理、品質保持期限の改ざんなどが発覚し、完全に消費者の信用を失墜してしまいました。また、その後の2001年の雪印牛肉偽装事件がきっかけとなり、グループは解体・再編を余儀なくされました。 現在にあって詳細は分かりませんが、「なぜHACCP認定工場においてずさんな管理が横行することになったのか」-問題の本質はもっと他にあったのではないでしょうか。個人的な意見ですが、ともに「ずさんな管理」「不正の常態化」が原因で、企業の解体という最悪のケースにまで到ったのではないかと考えてしまいます。 ---では、「なぜ管理がずさんになってしまったのか」、「なぜ不正が横行してしまったのか」(Why?)--- また、この事件以降、食品メーカーではさまざまな混入事件や商品回収のお願いなどニュースや新聞で一報を耳にすることが増えたような気がします。しかし、事後対応は各社迅速に行うようになったものの、問題の本質が把握されているのか否か、これらの問題に対処しているのか否か、といった点が、今後の食品メーカーの命運を握っているのかもしれません。 ここまでの話で気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、「問題の本質を見極めること」と「問題の解決策を考えること」が裏表の関係で、問題の本質を把握することなしに、正しい解決策を見つけることはできません。 それでは、いかにして「問題の本質を把握」すればよいのでしょうか 企業の経営におけるすべての問題を網羅的に調べ、対応策を検討することは非効率的ですし、現実的ではありません。次ページでは、「限られた情報・限られた時間の中で、問題の本質を見極め、最良とはいかないまでもいかに効果をあげる施策を打つか」について、戦略思考の基本である仮説検証の手法について説明いたします。 前のページへ < (2) > 次のページへ > 経営コラム トップページへ |
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